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「studio-L」 後編 2011.11.30

地域の課題を地域に住む人たちが解決するためのコミュニティデザインに携わるstudio-L。市民団体とのワークショップを見学できると聞いて、現場におじゃましましたよ!

インタビュアー:狩野哲也(以下、カノ)

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大阪市内某所で開催されたワークショップ。
ここからは狩野哲也の解説でお送りします。

カノ

ちょうどワークショップがはじまったところですよ。
司会の山崎さんが登場です。


山崎さん

ぜひともみなさん、これまでにみなさんがやっておられたことをペンと模造紙で共有してもらいたいと思っています。この団体の方はこういうことを考えている人なんだと知り合ってほしい。できれば普段やっていることとはちょっと違うことまで手を出してもらうきっかけになればと思っています。

みなさんにとって、ごくわずかなメリットかもしれませんが、

・大阪の中心部にある水辺で自分たちの活動をPRできる。
・サポーターとレポーターが全面バックアップしてくれる。
・みなさん自身のつながりができる。

以上がつなぐプロジェクトが意識しているところです。

カノ

意見交換することがちゃんとメリットになることだとわかるようにお話されていて、ゴールが明確だと初めて会った人たちとも同じ目標に向かえますね。そしてstudio-Lの曽根田さんが進行役のようです。

曽根田さん

情報を共有するために簡単なワークショップを行いたいと思っています。ワークショップは日本語に訳すと仕事場、作業場。専門家の方にアドバイスもらいながら課題を解決して行く場。気軽に意見を交換する場がワークショップだ。と認識してもらえればと考えています。

▼手元にルールが配られた書類に記載されていたこと。
・他の方の意見の批判をしない。
・全員が意見を出す。
・面白い意見に便乗する。
・話を遮らずに最後まで聞く。
・この場の意見の秘密を守る。

カノ

ワークショップにはそんな意味があるんですね。のちほど登場する醍醐さんにお聞きしたところによると、今回お集りいただいた方々は市民団体の方たちなので、わりと意見交換の大切さを知っている方々だったため、シンプルに説明したようです。ワークショップの経験が少ない方には、ひとりの方がしゃべりすぎないように、といったルールを盛り込んだりするそうです。

山崎さん

いきなりそれぞれのテーブルで開始してしてくださいと言ってもやりにくいだろうから、ひとりずつそれぞれのテーブルにうちのスタッフを配置しています。司会進行役をさせてもらいます。実はテーブルにレポーターの人たちが入っています。そのメンバーで話し合いをしてもらいたいなあと思っています。

カノ

レポーターの方は、例え会話が上手じゃなくてもニコニコして話を聞いている人がいるだけで場が和やかになるとも聞きました。

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ワークショップの進行に戻ります。

山崎さん

ひとつはそれぞれの団体はどんな思いがあるのか深いところを聞かせてもらいたいです。どんな内容の活動をされているのか。どんな志をもっているのか。ピンクと水色の紙に書いて下さい。一言かいてもらう。そんな時間にしたいと思います。ピンク色のほうにアツい思いを書き、水色のほうの付箋には活動の中でちょっと困っていること、このあたりが課題だということがあれば教えていただきたいです。

たくさん付箋を書いてもらうことで、結果的にいろんな方の思いを刺激することになるのでたくさん書いてみてください。場をもりあげる意味でも書いてもらえればと思います。3分とりましょうか。結構ハードルが高いと思います。一気に書いちゃってください。よろしくお願いします。

カノ

スタートしていっせいに会話が生まれました。テーブルに付箋がどんどん並んでいきます。

山崎さん

大きめの文字で書いてください。テーブルの司会進行役がまとめていきます。出していってもらうと思いの部分で共通しているとか見えてくるところがあります。実は悩みも共通しているかもしれませんね。10分でまとめあげてください。テーブルの進行役であるうちの事務所のスタッフに言っているんですが(笑)。

醍醐さん
(テーブルのまとめ役)

どうしよう…。



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カノ

焦っているフリですかね? 10年のキャリアのある醍醐さんが焦るとは思えないです…。

山崎さん

次の新しい紙は枠が入っています。「思い」と「困っていること」のふたつを水都大阪の特徴にあわせて解決できるんじゃないでしょうか。水辺でできることを意識しながら貼ってもらって、思いのところを組み合わせながら表を完成してもらえますとうれしいです。

醍醐さん

どうしよう…。

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山崎さん

うちのスタッフの醍醐くんが焦っていますよ。そろそろ共有しましょうか。

カノ

あとで確認したところこのふたりのやりとりは演技。場をもりあげるために醍醐さんは「私は焦っています」という表情を浮かべ(オーバー気味に楽しく)、山崎さんも醍醐さんが「彼は焦っています」と表現する。するとテーブルに着いている人たちは、自分たちが協力しあわなければ、醍醐さんのミッションが達成しないことを知る。と同時に気持ちがほぐれて自然と主体的に行動するようになる。これが、テーブルの上でクリエイティブなことが生まれる瞬間を垣間見た気がしました。

ワークショップを終えて、ご感想をお聞きしました。

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山崎さん

継続的にこういうプロジェクトでワークショップに関わってもらえれば、これだけのアイデアがこの短い時間に出てきます。これがワークショップの醍醐味ですね。普段の会議でも使ってみるといいですよ。三分ぐらいでざーと課題が揃います。今日もそうですが、みんながヒントをつかんだ瞬間を見るとうれしいんです。

カノ

普段、こんな感じで公共空間のデザインとマネジメントに携わっておられるのですね。地域の方が同席して、みんなでみんなの課題をさまざまなコミュニケーションの方法を使って取り組んでこられたのだなあとわかりました。ありがとうございました。

今回お世話になったのは…
studio-L http://www.studio-l.org/

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presented by
狩野哲也

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