
Wo ist der Treffpunkt?|2009.03.23 / Flip


過去形なのが寂しいのですが、山と渓谷社から出てました、ヒットの延長がホームランならぬ散歩の延長が山登りな、肩肘はらないハイキングウォーキングなアウトドア雑誌「Wandel」(ワンデル)が大好きでした。
暮らし系と呼ばれる一連の雑誌に、なにか違和感を覚えるワタクシですが、「Wandel」の地に足ついた感というか、日々の暮らしとの地続きな感覚と、優しいデザインの中に潜むぶっといブレない軸に心奪われてました。残念ながら2006年早春号にて休刊も、ブレない軸の正体であった「Wandel」編集長の若菜晃子さんが山と渓谷社を辞め「Wandel」の魂を引き継いだ「murren」(ミューレン)をリトルプレスとして創刊。「街と山のあいだ」というキャッチフレーズがストライクゾーンド真ん中な小さな巨人小冊子を生み出した若菜さんにちょっとお話聞いてみました。
W:若菜晃子
U:underson
「Wandel」大好きでした!バックナンバーが揃てった店があったのでそのうち買おうと思ってたら休刊になって姿を消して…なので1冊しか持ってませんけど好きでした。
私ももうほとんど持ってなくて。ネットとかで見たらアホみたいな値段で出てるんですよ。
僕も探しました(笑)
その辺の古本屋に300円くらいで売ってるみたいです(笑)
「Wandel」の1号目が出た時ちょっと衝撃的でした。これ何やろ?みたいな感じで。でもやっぱしADが矢部綾子さん(雑誌、書籍、CDジャケット、プロダクトのブランディングデザイン等を手がけるグラフィックデザイナー&アートディレクター。シンプルながらどこかエスプリのきいたデザインがワタクシ大好きなのです。Flipにも登場していただいた山村光春さんの「Collectable Picture Book Store」(ピエブックス)のADも。一番好きなのはドコモの会報誌「DO something!」)に変わった3号目からが大好きでした。

1号と2号はそれぞれ違うデザイナーさんがやってたんで雰囲気が全然違うんです
ロゴも違いましたよね
1号と2号は男性の方だったんですよ。
毎回AD変えようかなとか思ってたんですけど物理的にそうもいかず、
でも矢部さんに頼んで一番意思疎通が出来たんで
あ、これはイケるかもと思って。
3号目から花開きましたよね
花開いていつのまにか散ってたという(笑)
「Wandel」のコンセプトというか、アレはどこを狙ってたんですか?
「Wandel」は……今まで読む本が無かった人たち(笑)
ああいう山の会社にいたんですけど、
作るものとか考え方とか膠着してるじゃないですか。
基本的に山を知ってる人が読むという前提というか。
でも本当は、
山は知らんけど、山はいいなぁ、
なんとなく行ってみたいなぁ、
と思ってる人たちがいっぱいいるんで、
そこに放り込むものを作れないかなと。
私ももともとそこにいた人なので。
山はそんな簡単なものじゃないぞと
敷居をどうしても高くしがちなんで、
なんとなくいいなぁと思ってる人たちに向けて、
こういうものがキッカケとなって入って来てほしいなと。
違う世界に思いを持ってもらえたら嬉しいなぁと、
そこへボールを投げ続けたいなと思ったんですね。
そんな「Wandel」が志半ばで休刊になった後、会社を辞め「Wandel」を引き継いだ感じの「murren」をリトルプレスとして出しましたが、これは「Wandel」でやり尽くせていない感があったからですか?それともずっと言い続けたかったからとか?
え〜両方です。
やり尽くせていない感
言い続けたかったから
さらに
やりたいことは自分の力でやり続けるべきだと思ったから
です。
やり尽くせていない感に関しては、当然4号で終わってしまうわけですから、全然なんもできていないわけです。
「Wandel」を作るに際しては、私も私なりに目的があって作っていたので、
その目的に向かって、東京を出発して各駅停車で目的地に向かっていたのに、
突然会社から「やっぱ売れないからやめじゃ」といわれて、
その落とし前をつけるのに、
いきなり読者を品川から新幹線に乗せて大阪まで連れてっちゃった、
みたいな感じだったんで。
なるほど。
でも、1年間4冊作ったことで、
私は得るものがものすごくたくさんあったんです。
その大きなひとつが、「自分の言わんとしていることは間違っていなくて、
そのことに共感してくれる人も必ずいる」ということだったんです。
私はもともと自信なしおですし、
自分の言わんとしていることが世の中で通用するかどうかなんてまったく保証はありませんし、第一私ごときがなにを言う、みたいな気持ちがいつもどこかにあるわけです。
ただ自分は本が好きで、
本を作りたくて編集者という仕事に就いているわけだし、
ならば、自分が実感をもって、これがいいと思っている本を作りたい。
そして、そういう気持ちで作ったものは、伝えたい人には伝わる、
いいと思ってくれる人もいる、
だから言い続けてもいい、とわかったことが、
「murren」を作る大きな原動力だったんです
しかし結局会社のなかで本を作っていると、
当然ですが「売ってナンボ」なわけで、
そんないつ売れるかわからない雑誌なんて相手にできないわけで
そのことは社員編集であった私もよくわかっていましたし
しかも私のいわゆる言いたいことというのは、マス相手ではなく、
コア層向けのものであるということもよーくわかってきたんです。
ですから、自分のできる範囲で作るのがいちばんいい選択だろうと思ったんです。
それに、商業誌はどうしても広告ありきですし、なにかに頼って自分のやりたいことをやろうとすると、絶対に反故がでてきて、結局自分のしたいようにはできなくなってくる。
ならば、本当にやりたいことは、
自分のお金を使って、自分の力でやるべきだと思ったんです。
今の雑誌休刊ブーム(?)って部数ももちろんなんですが、それ以上に広告が入らないからという事ですもんね。それで広告が入りやすい誌面や特集をしたりとか…。そんな事でええんかいなと思うんですが、そういう意味では「murren」の特集は、1号目が「とって食べる」2号目が「冬眠」3号目が「雨」で最新号の4号目が「峠のだんご」と、どれもこれもフックのきいた、やりたい事やってる感あふれてますよね?
企画は全部思いつきです。取り柄といえば、絶対他がやらない、やりたくない、やれないネタをやるのが身上なので。
そのへんに生えてる草花を食べてみるという「おとなになってもとってたべる!」が最高なvol.1。祝!完売。店頭在庫のみ。今すぐ走れ!
誰もが憧れる(?)冬眠!人型寝袋が最高なvol.2。祝!完売。店頭在庫のみ。今すぐ走れ!
雨の日をいかにして楽しむ?なるコピーが入った傘をデザインした事あるワタクシには最高の雨特集なvol.3。無くなる前に今すぐ走れ!
「murren」は原稿料も格安だし、
よくスタッフにも
「若菜さんは「murren」のために働いている」とか言われますが、
それでも協力してくださる人たちがたくさんいて
購入してくださる読者の方もたくさんいて。
本当に感謝しています。
だから、さっき「Wandel」の時にも言いましたが
「murren」も、まずは続けるという事
そうしないと伝わるものも伝わらなくなってしまうというのが
私の中でもすごいあるんで。
やめるのは何時でもできるので
やめるまでは諦めない。
それを自分に課してやりたいと
続けることで、さらにいろいろ見えてくることがあるんだろうなと思っています。
なんにせよ、ごちゃごちゃ考えるより
信念があるんやったら、やるんがいちばんいいんだと。
まあ、誰に頼まれてやってるわけでもないから(笑)、
自分で自分に発注してるんだから、気長にやりたいと思っています。
「murren」関西では(大阪)cafe&books bibliotheque、ANGERS ravissant、iTohen、graf、Calo Bookshop & Cafe、THE NORTH FACE +堀江店、beyer、ブックファースト梅田店、(京都)恵文社一乗寺店、ガケ書房(奈良)くるみの木(神戸)vivo,va bookstore、TORITON CAFE などのナイスショップにて販売中。murrenのサイトにて定期購読も受け付けてます。
Relation Link
murren http://www.murren612.com/

若菜さんが手がけました「東京近郊ミニハイク」(昭文社刊)が出ました。「山に興味のある20〜40代の女性がターゲットの初心者向け登山ガイドブック」と、これまたスニーカーの紐をキュッと締めたくなる1冊となっておりますので是非。
![Flip [stolen pleasures are sweetest.]](http://www.opus-design.jp/skins/image/flip-logo.gif)
ワタクシundersonがちょっと気になるアンチクショウと旨い珈琲でも飲みながら肩肘張らない丸腰放談の中からクリエイティブの薬莢を見いだす針小棒大なコーナー。
Editor/
tsutomu horiguchi
from underson