opus design - オプスデザイン

▶中嶋大介

Try Our Taste|2008.12.05 / Flip


古本。いにしえの活字な文字組を味わったり、版下ゆえのデザインに鱗落としたり、デザインの礎を築いた達人たちの作品を見るのも乙ですが、ワタクシの古本購入基準はおもしろ図版が載ってるか否か、ユーモラスか否か、これに尽きます。そんなワタクシの琴線に触れたのがBlog「ahoaho-expo」。 デザイナーでありオンライン古書店「BOOK ONN」主宰の中嶋大介さんが収集したプロレス本、暴走族本、タレント本、海外の赤ちゃんプレイのカタログなどなど "当時はまじめに作られた本だけれど今見ると何か可笑しい"という本たちをアホアホ本(もちろん大阪ニュアンスでのアホ)と命名、そんな愛すべきアホアホ本をおもしろコメント付きで紹介してたBlogが、このたび『アホアホ本エクスポ』として書籍化(残念ながら書籍化の関係上?ahoaho-expoのエントリーは見れなくなってます)発売されるや、世間はアホを待っていた !?と思えるくらいメディアにひっぱりだこ状態な中嶋さんにちょっとお話聞いてきました


N:中嶋大介
U:underson


U

Blog「ahoaho-expo」をはじめたキッカケは?

N

Blogをはじめる前から「アホな本」をたくさん買ってて
ある程度集まった時に、だだ集めるだけではなくて、自分だけの楽しみでもなく、いろんな人と共有したいなと思ったのがキッカケですね。
Blogとは別に、「BOOKONN」と言うネット古書店もやっているのですが、
ある程度の期間続けていると傾向というかお客さんが期待するモノがわかってきてしまうんですよね。
それを裏切ったり、意外性のあるものを提供したりしていましたが、
さすがに「アホな本」は紹介できないと思ったので、別にBlogをはじめることにしたんです。

U

Blogに「ミニコミでもいいから本をつくりたい!」と書いたところリアクションがあり書籍化されたんですよね?

N

何でも言ってみるもんなんだなと思いましたね。
編集者の人に聞くと、本が売れないから、
とにかくタイトルをたくさん出せっていう傾向があるみたいで
何冊出さなければいけないというノルマがある出版社もあるらしいです
そんな事もあって常になにか面白いものを探してる人たちがいるみたいで。

U

そういう人達のアンテナにひっかかったわけですね。
出版社がデザイン系のBNNって所もなんかユーモラスですよね。

N

なんか不思議な感じはするかもしれないですね。
さすがにこの本はデザイン書のコーナーには置けないって書店員さんには言われるみたいで、サブカルとか一般書コーナーとかに置かれてるみたいですね。


U

著者・装釘・デザインを手がけたわけですがどうでした?

N

元々パッケージ・デザインの仕事をしていたんですが、
遊びで小冊子みたいのは何度か作った事がある程度で
まともに単行本というのは初めてだったので
怖いもの知らずで作った感じでした。
いろんなことがはじめて続きで、とても勉強になることばかりでホント大変でしたね。

U

この大らかというか何とも言えない文字組は勿論狙いですよね?

N

そうですね。なんとなくアホっぽいというかユルイ感じを出したいなと思って。強調するところだけをデッカくしたり。

マーシャル・マクルーハンの「The Medium is the Massage」(メディアはマッサージである)っていう本があるんですが、元々英語で文字組とかを遊んでる本で、日本語版を出す際、そのノリを再現するため、無理矢理日本語を大きく入れてて、そういうユルイ感じが好きだったんで、素人っぽさというかアホっぽさが出せればいいかなと。

編集者はもうちょっとデザインを締めてほしかったというか、
もっとデザインしてくれって言われたんですけど、
本も結構モノクロのものが多かったので、そこでデザインしすぎると
主役が本じゃなくなるので
そこらへんは僕なりの意識でやったつもりです。


※Mマクルーハン「メディアはマッサージである」よりジョン・ケージの言葉のページ


U

造本も中嶋さんのディレクションなんですよね?

N

かなり自分の好きなようにやらせてもらえて、すごく感謝してます。
編集者は「モンドミュージック」みたいな感じの、
もう一回り大きい本で作りたいって感じだったんですけど、
僕はもうちょっと小さいサイズにしたいとか、
ビニールのカバーをつけたいとか、それをのんでもらえて。

U

表紙の銀も効いてますよね

N

ちょうどBNNさんが「蛍光色の本」(「ネオンアディクト 蛍光色の本」)というのを出して、蛍光のインクは使いたいみたいな事をチラっと言ってて。
もともとBlogを本にしたものなので、
Blogとは違うグッズ感というのは出したいと思ってて、
銀とか蛍光色とかは画面では表現出来ない色だし、
手元にあるからこそ見れる色だったりするので、
そういう部分を表現したいと思っていたので


このあと、共通の知り合いの話から、大御所デザイナー羽良多平吉先生の話、淡路にある本の要塞こと「本の森」が古本の販売をやめた話、ワタクシがMOND系にハマってた頃よくお買い物してた「成金商会」が現在の「どどいつ文庫」だったり…と愚にもつかない話と大人の事情で書けない話を延々と…ゆえ割愛。



U

勤めてたデザイン事務所やめたんですよね、これからはどういった感じで?

N

ちょっとお話あって、うまくいけば本の仕事がいただけるかもしれないって感じなんで…もし決まれば400ページくらいの本なんで…。
ちょっと自分自身どうなるか分からない感じですね。
なすがままというか(笑)

U

そっち方面でいろいろお仕事に繋がっていくといいですね。
最後に、今後もアホアホ本を追いかけていくと思いますが、中嶋さんにとってアホアホ本ってなんなんでしょう?

N

アホアホ本といっても定義なんてないと思うんです。
「これアホだなー」と思ったら、それが「アホアホ本」。
だから、人それぞれの「アホアホ本」が存在するんです。
ぼくにとっては「アホアホ本」であっても、
他の方から見たら全然アホじゃないと思う本もあると思います。

「アホアホ本」を楽しむには知識ではなく、
アホを楽しむ感性だと思っています。



「アホアホ本エクスポ」
BNN新社
ISBN-10: 4861005892
ISBN-13: 978-4861005893

BOOK ONN: http://www.bookonn.com/
ahoaho-expo: http://ahoaho-expo.com/

Thanks: chef d'oeuvre / colombo

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ワタクシundersonがちょっと気になるアンチクショウと旨い珈琲でも飲みながら肩肘張らない丸腰放談の中からクリエイティブの薬莢を見いだす針小棒大なコーナー。

Editor/
tsutomu horiguchi
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