|2012.11.20 / Flip
今日より明日が少しでもいい日になるように。
明日がいい日になれば、
あさってはきっと、もっとすばらしい。
素敵なスローガンのもと、2010年より神戸を拠点に活動する明後日デザイン制作所のアートディレクター/デザイナー近藤聡さん。同じフリーランス同士ということで、ちょっとお話聞いてきました。
ーー現在までの道のりを教えてください
大学は発達科学部という、元教育学部の美術の先生になるコースに行ってて、デザインというよりは絵を描いてました。卒業後、IMI(インターメディウム研究所。現IMI/グローバル映像大学)に入って、そこで面白い先生に出会い、デザインっていいなぁ~と。せっかく行ったからにはMacぐらいは覚えないといけないだろ、せめてイラストレーター、フォトショップくらいは使えるようになろうと。本当は1年で卒業なんですが、先生のアシスタントをしながら2年行ってました。
IMIは土日だけなんで、平日は本町にあるカラーコピー屋さんでバイトしてたんです。仕事を探さないといけないんですけど、どこにいっても経験者しか募集してなくて。経験者っていってもどこで経験できるんか分からへんし、しゃーないからカラーコピー屋さんで働いていたことを経験にしてしまおうと思って(笑)。そこはメインはカラーコピー屋なんですが、裏には軽オフの機械があって名刺とかチラシも刷ってる所だったんで。で、しばらくそこで働いてたんですが、さすがにコレじゃあかん! と思ってるところに、IMIの先生に紹介いただいて、運良く滑り込んだのが三木さんの事務所(三木健デザイン事務所)でした。
ーー初めて入ったのが三木さんの所なんですね
はい。そこで、仕事としてのデザインを知りました。
ーー10年近くそこにいたと思うんですが、独立のキッカケとかあったんですか?
もともと最終的には一人でやりたくて、面接の時も「いつか一人でやりたいので勉強させてください」って言ってしまって…。
デザインというものをはっきり意識はできてなかったんですけど、大学の卒論は田中一光さんのポスターを題材に書いてたんです。
その田中一光さんの本を読んでたら、勤めて10年経ったら事務所を追い出すというと言い方は悪いですけど、仕事を持たせて一人でやりなさいっていう風にするって書いてあったから、そういうもんなんやなと思ってました。
超一流のところで10年かかることを、同じようにしてたら全然敵わないから私はそれを7年に凝縮するつもりでやろうと。なんとなく、勝手に、漠然とした目標にしていて。
でも7年目くらいに結婚したり先輩が辞めたりとかでタイミング的に独立が難しくて、ぼちぼち10年が見えてきたときにヤバイヤバイどっかで決めないと!と。
で、結局9年ちょっと。
ーー大阪生まれの和歌山育ちで大学が神戸。IMIと三木さんの所が大阪で、結婚してまた神戸に。阪神間を行ったり来たりしてますが、独立後、事務所を神戸にかまえたのは?
神戸で事務所をかまえた理由は、いっぱいあるんですけど、別に神戸じゃないとダメとかっていうわけではなく、一番大きいのは今のこの場所、ここのスペースを使ってもいいよっていう話をもらったから。
あと知っている人の繋がりからほんのちょっと離れた場所がいいなと思ってて。
ーーウチも今それ考えてます。デザイン事務所が無い所に引っ越したいと。
大阪だと、中央区とか北区とかは何となく嫌やなと。
特に理由はないんですが、港区とか神崎川のへんとかがいいかも、と。海とか川の近く。家賃も安そうやし。高い家賃は払えないんで必然的に少し離れた場所にならざるをえなくて、実際、神崎川の辺りは見にいったりもしたんですがピンとこず。綺麗な所じゃなくていいから、安くてある程度広さがあって、オフィス然としてない所を探してたら今の場所を紹介してもらったので。
ーー場所のことを最近よく考えるのですが、ウチは大阪でやってますけど、そこにたいした意味はなく、ずっと住んでて知り合いもいるし、くらいの話で、いい所があれば京都でも神戸でも簡単に引っ越ししてしまいたい勢いなんです。大阪にいるから大阪らしいデザインをやってるわけでもないですし。一方で、場所に意味をもって必然性をもってやってる人に対して、それはそれで羨ましいというのもあるんです。
結果論ですけど、神戸で始めたことはすごく良かった。
大阪には同世代も含めて知っているデザイナーがいっぱいいてますけど、神戸で始めた時はほとんど知らなくって。他の人が、デザイナー誰いてる?ってなった時に、「明後日さんいてはるで」って言ってもらえる現実的な意味でのラッキーもあったし。
あと、どこにいても仕事は出来るっていうことを実践したいのもちょっとあったんで。大きい広告の仕事がやりたいんだったらやっぱり東京かなとは思いますけど、自分の場合は関係ないかなと。言い尽くされてることですけど、ネットさえつながってれば。ただ、これも後から気がついたんですが、新幹線が止まるところでよかったなとは思います(笑)
最近、知り合いに教えてもらっていいなと思ったのが、"仕事は1日4時間にする"。
単純作業は別として、ほんまに集中して考えるっていうのが4時間。それくらいが限界かな、と。
今までは、午前中はまあ比較的集中できても、お昼ご飯食べたらなんか眠くなったりしつつ、仕事が終わるまでダラダラと進めてたこともよくあったんですが、4時間って割り切ったら結構効率がよくって。で、それだけ集中できたら、あとは進んだら進んだだけお得なオマケみたいな感じ。意外とそれで回るんですよ。
最近はそれにも慣れてきて、またちょっとずつダラダラ具合が混ざりつつあるんですけど(笑)
スタッフがいてたら仕事の進め方も変わるかなとは思うんですけどね。
ーーお互い1人でやっていますがスタッフを入れるとかどう考えてます? ウチはスタッフというよりフリーの人と組んで仕事することが多いんですが、アカンとわかってても、やっぱり " 自分でやった方が早い病 " が出てしまうんです。
相手に相談したり、指示する内容をつくってるぐらいだったら自分で手動かしたほうが早いわってなる時ありますね。勤めていた時にも、後輩にまるまるおんなじことを思ったこともありますし。ただ、やっぱり人と話をして生まれる相乗効果とか、手分けして上手くいった時の仕事量はやっぱり全然違うっていうことも知ったので、出来るようにならんとなぁとは思います。
ーーあと、どこまでウチのカラーでお願いするのかも考えます。その人だからこそのものが出てないと面白くないですし。
自分のコピーがいてたらすごく楽なんでしょうけど、多分意味がないし、面白くもない。
自分には出来ないことや自分とは違うこと、訳わからんこととかを許せる余裕が、いまウチにどれだけあるかは分かりませんけど、そういうのがないと一緒にやる意味はないのかなと思います。
ーー30後半からデザインって何だろう?ってよく考えるようになったんですが、そんなことないですか?
そういうこと考えるのはもともと好きですね。
今、大学のビジュアルデザイン学科で1回生を教えてて、基礎の基礎、平面構成とかをやってるんですけど、みんながみんな、デザインやイラストを仕事にするわけじゃないんですよね。
違う分野にいく人たちにとっては平面構成の授業なんて聞こうが聞こまいが関係ないと思ってるかもしれないし、必要な人はどこかで気づいて自分でやるようになるだろうし。
いろんな人がいてる中で、何を言うかみたいなところ。誰にとっても、気づきがあればいいなとは思ってるんですけど。
デザインやイラストの仕事をしなくても、例えば、会社に入って分かりやすい企画書をつくることもデザインだと。レイアウトがキレイどうこうじゃなくって、分かりやすい企画書をつくろうと思ったら、そのコンテンツをちゃんと理解して、整理して、伝わるようにしないといけないわけだから。そういう意味で、「読み書きそろばん」の能力にプラスして、デザイン的思考が身についたらいいのになと思って話をしてます。
最近、あちらこちらで、あれもデザイン、これもデザイン、なんでもデザインて言われているのが、まあ言い過ぎちゃうかと思うこともありますけど、個人的にはすごくいい状況だと思ってて、デザイナーとしては言葉でちゃんと説明できるようにしとかないとなと思っています。
明後日デザイン制作所http://astt.jp/
ワタクシundersonがちょっと気になるアンチクショウと旨い珈琲でも飲みながら肩肘張らない丸腰放談の中からクリエイティブの薬莢を見いだす針小棒大なコーナー。
Editor/
tsutomu horiguchi
from underson
2012.11.20 Tue