opus design - オプスデザイン

▶旅する小さなグラフィック(下)

|2011.05.30 / Flip

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前回の旅する小さなグラフィック(上)いかがだったでしょうか? ちょっと切手が好きになってきたのでは? そんなアナタをさらなる深みへ誘うべく、趣味にルールは無用、人の数だけ楽しみ方があるというわけで、切手好きの皆様に和洋折衷とっておきをご紹介してもらいました!

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野崎泉_bibliomania

ライター。編著に「東郷青児 蒼の詩 永遠の乙女たち」。6/1発売の「Meets Regional」7月号にて乙女系の師匠、作家の田辺聖子さんを恐れ多くもインタビューさせて頂きました。よろしければぜひ。
bibliomania http://www.underson.com/bibliomania

ANNE.jpg好きな物語にまつわる切手を少しずつ集めています。大好きな『アンネの日記』の切手。左がドイツ、右がオランダのもの。西宮にある『アンネのバラの教会』で展示されているのを見たことがあって、切手市にて同じものを根性で探し出した一枚(笑)。もう一種類イスラエルで発売された、隠れ家とアンネの顔をあしらった図案もあって、いつかめぐりあいたいです。

POO.jpgディズニーのプーさんでなく、E.H.シェパードによるオリジナル挿画の『くまのプーさん』切手。昔から石井桃子さんが好きで、彼女の翻訳から『くまのプーさん』の世界にはまりました。

ANNE3.jpg『赤毛のアン』の出版100周年を記念して、日本とカナダの共同発行でつくられたアン切手。クラシカルで素敵な絵柄は、両国共通のデザインなのだそう。よく見ると、2枚合わせて本を開いたかたちのデザインになっているところにぐっときました。絵柄の素敵さもさることながら、物語そのものに思い入れがあると愛着もひとしおです。

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山村陽美_Orange tip

クリエイターが手掛けた、カレンダー、バック、Tシャツ、ポスターなどオリジナルグラフィックの雑貨ブランド「Orange tip」のデザイナー。
Orange tip http://www.orangetip.net

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父親の影響で集め出しましたが、主に国内の未使用記念切手のみを収集しています。
一番のお気に入りは、左のモロッコの方のイラストで、「かぞく」というタイトルの
世界人権宣言50周年記念切手です。中近東の鮮やかなブルーの中にビビットピンクの
太陽が栄えて、人物のシュールな目線もかなりツボな1枚です。

右の岩宿遺跡発掘50周年の石器切手も同じくはずせませんが、最初見た時、石器を切手にする? と目が点になりました。この何とも言えない石器の配置バランスに魅了されます。

手紙を書くのが好きなので、切手は派手めの封筒の真ん中にどーんと貼って、
主役級に出しちゃいます。

sumo.jpg相撲にはまったく興味はありませんが、昔の2連作の相撲絵には、笑みがこぼれてしまうので、こちらも買いです。歌川国芳スバラシイです。

ishihara.jpg最後にmy母の愛する石原の裕ちゃんで、締めたいと思います。

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Syrup

可愛い切手の蒐集家。
Stamp Collecting 切手の世界へようこそ http://fc2stampcollecting.blog102.fc2.com/


私が切手収集を始めたのは、元々細々とした雑貨を集めるのが好きで、その延長としての自然な流れでした。3年ほど前にネットショップでドイツの児童福祉切手「白雪姫」と出合い、一目惚れ。その時には全く予想できませんでしたが、その後「白雪姫」との童話つながりで他の国のものを探すうちに、あれはなんだろ? なにこれ可愛い! と、どんどん深みにはまっていき、今ではすっかり切手のトリコに。そんな私ですので、切手の価値云々には全くこだわりはなく、とにかく自分のセンスに適うデザインのものを、ひたすらハントし続けています。


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これが私を切手の世界へと誘った、記念すべきコレクション第一号。今から50年近くも前の切手なのに、ちっとも古臭さを感じさせません。ストライプ柄のブラウスや、レース縁のエプロン、ハート模様のスカートなど、ファッションもガーリーでとっても可愛くて。これはヤバイ、と思いませんか?笑


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「切手は小さな美術館」といった表現をよく耳にしますが、可愛い切手を探していると、実際に海外アーティストのデザインにしばしば出合います。カス・ヤノシュ(ハンガリー)、レイク・カーロイ(ハンガリー)、フンデルトヴァッサー(オーストリア)、レイモン・ペイネ(フランス)、ニコレッタ・チェッコリ(サンマリノ)などなど。彼らの作品を気軽にストックできる、そう考えると、切手収集ってなんて贅沢なんでしょう。


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また、切手のデザインそのものというより、その上に重ねて印刷される「加刷」部分に惹かれることもあります。特にユニークなのが、ルーマニアのもの。森にウサギ、海にサカナ、電話にキノコ。さらに山小屋にはクローバーやハートまで。急な額面変更に対応するため、切手の古い額面を消して新たな額面を重ねて印刷するのが「加刷」切手です。が、本来事務的な「加刷」処理にも、こんなファニーなモチーフを登場させちゃうところに、ルーマニア郵政の粋な遊び心を感じます。ちょっとしたアイデアなのに、切手を使う人を楽しませてしまう、うん、デザインって凄いです。


3年前から古今東西、各国のこれは!という切手を探し回っていますが、きっと私が運良く出合えたのは、全体からすると氷山の一角みたいな数でしょう。だからこそ、これからもイカシた切手を発掘する楽しみを、長ーーく味わっていきたいです、いやぁ、いけるでしょう。それに、マイナーでも可愛い切手を紹介して、ブロ友をびっくりさせるという(切手収集の)密かなる裏の楽しみも、笑

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堀口努_underson

グラフィックデザイナー。雑誌「Re:S」や「ニッポンの嵐」「アッチュム!フランスの可愛い古書を探して」などデザイニング。
underson http://www.underson.com

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ヨーロッパのグラフィカルで可愛い切手も好きなのですが、それを上回る野球愛。 ボールの上でボールを投げる構図と、ピッチャーのフォームが見るからに軟投派なところが涎ものの都市対抗野球切手(右)。昭和のタッチと切手の相性はバツグンかと。
ちょっと歪んだ黄金比で構成された切手も好き。女王様を片隅に追いやる隣りの人は誰なんだろう?とイギリスの方角を眺め思いを巡らせること、しばしば。

ネットを徘徊してて見つけた60年代のデンマークのこの切手すごい!


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「Re:S(りす)」という雑誌のデザインをしていた時、誰かから提供してもらったりす切手。「貯蓄で自立」のコピーが図案とあいまって、なんとも胸に染み入ります。


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日本国際切手展2011
この夏、10年に1度の大規模な切手の祭典が横浜で開催されます。「小さな切手が世界をつなぐ」をテーマに、国内はもちろん世界各国の切手が大集合!郵趣の普及を目的に、貴重なコレクション公開、記念切手の販売、絵封筒や巷で人気の風景印、印刷コーナーでは切手の目打ち体験、切手はがしワークショップなど盛りだくさん!マニアはもちろん、切手初心者の人も、四角い世界に囲まれ幸せな気分になることうけあいです 。

PHILA NIPPON'11 日本国際切手展
2011年7月28日(木)〜8月2日(火) パシフィコ横浜。
http://philanippon.jp/index.html

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切手ファンが少しでも増えたら!との思いで、2回に渡って紹介しました、旅する小さなグラフィック・切手特集。いずれはFlip切手部を発足し、切手交換会を!なんてゆめゆめ思いながら、ピンセット片手にこれからも切手蒐集茶帯目指し精進いたします。

旅する小さなグラフィック(上)はコチラ

Flip INDEX

ワタクシundersonがちょっと気になるアンチクショウと旨い珈琲でも飲みながら肩肘張らない丸腰放談の中からクリエイティブの薬莢を見いだす針小棒大なコーナー。

Editor/
tsutomu horiguchi
from underson

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2012.11.20 Tue


▶近藤聡_明後日デザイン制作所