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▶築山万里子 .1

Beyond the valley of the printing|2010.11.29 / Flip

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日々でてくる特殊印刷に新しい加工、CTPにオンデマンドにDDCP、ネットを探れば激安を謳う印刷屋さん、かと思えば活版やレトロ印刷が見直されたり、……印刷というものが新しい価値観のもとシャッフルされてるいま、せっかく頼むのならいろんなイメージを共有できる印刷ゴコロの分かるところにお願いしたいのは人の常。
大阪は玉造にありますアサヒ精版印刷株式会社は、痒いところに手が届くだけでなく、孫の手までも差し伸べてくれる会社。その中で細腕ながら豪腕をふるう頼りになる姉御ことプリンティングディレクターの築山万里子さんにちょっとお話伺ってきました。


M:築山万里子
U:underson



印刷の世界へ


もともとスタイリストになりたくて、ファッション関係のデザイン事務所に勤めながら夜間の服飾専門学校に通ってました。
デザインする気はなくて、パタンナーとかどうかなと思ってたんですが、
勉強していくうちに、向いてないかなと。
その事務所を辞める事になり、何しよう?とブラブラしてる時
父が運営してるウチの会社(アサヒ精版)に欠員がでたので、
バイトみたいな感じでやってみる?って、
あまり深く考えずにこの会社に入りました。
印刷のこと全くわからないまま入ったので人知れず泣きました。
あまり楽しかった記憶はないんですが(笑)不思議と嫌いではなかったですね。



3年くらいたったころ、カタログの制作を任されて、
デザイナー、コピーライター、カメラマンという職業の人たちと
はじめて一緒に仕事をし、
印刷全般に関わることで、
少しずつ制作の仕組みや楽しさがわかるようになりました。

その時プロデューサーという肩書きをもらったのですが、
ここでいうプロデューサーとは、
スケジュールとお金の管理とクオリティーの管理をする人。
それが25才くらいの時。工場さんには可愛がってもらいましたが、
今思えばクライアントさんもよく
25、6の娘に仕事を任せたなとと思います。非常に感謝してます。




プリンティングディレクター



当時、incomplete designを立ち上げておられたデザイナーの林さんが
プリンティングディレクターって肩書きをつけてくれたんです。

林さんのtypographic diaryというプロダクトを担当した時、ヴィベールが出始めた頃で、どうしてもヴィベールでやりたい、Universの細い書体を絶対綺麗に出したいとおっしゃって。このエッジを出すのがすごく難しくて。ホットスタンプの版をいろんなエッジを作ったり、圧のかけかたとか温度とか時間とか、いろいろ変えてテストしてテストして作ったんです。

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M

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その林さんと別の仕事をした時、奥付に名前を入れてくださったんです。
築山さんのやってる仕事はプリンティングディレクターだって。


従来、製版士さんのことをプリンティングディレクターと言うんです。
指示してディレクションして、美しい製版をあげていくという、
本来はもっと技術的でプロフェッショナルな肩書。
でも単純に和訳すると、印刷をディレクションする人。
私は後者のスタンスでプリンティングディレクターを名乗っていこうかと。



自分はデザインする人じゃないので、
デザインする人のアイデアを聞くのがすごく好きで、
それを聞いたうえで、
なにかしらそこに重ねていく。
という感じで一緒にものづくりをしたい。
だから全然途中のものでいいのでラフを見せてもらって、
そこから紙や印刷のイメージを膨らませていきます。

デザイナーさんが最初に持ってくるアイデアって
夢膨らむプランで面白いんですけど、
結局見積りが通らずいろいろ妥協して
50%みたいなものが出来上がることが多くて、
せっかくのプランがもったいないじゃないですか?
それであれば、プランの段階から
こんな雰囲気の紙が希望だけど、予算が無いならこんな紙もあるよとか、
台ごとに用紙を変えるとか、ページネーションを工夫するとか、
値段が変わらずに1色を特色にするとか、
できるだけいろんなものを有効に使いたい。拡げれるところは拡げる。
大阪人なんで、基本せこくできてるんで、
工夫することばっかり考えてます。



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asahi3.jpglessand.jpg2008〜2009年サントリーミュージアム[天保山]で開催された「純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代-機能主義デザイン再考」展のポスターや図録の印刷を担当(デザインはシマダデザイン)。「もの凄く大っ変でした!1週間ほぼ貫徹で全頁立ち会い。大変でしたが終わってしまうと忘れるたちなんで(笑)」そのかいあってニューヨークADCにて最高賞であるゴールドキューブ2部門受賞。その後、第51回全国カタログ・ポスター展で、経済産業大臣賞、図録部門・金賞、審査員特別賞の3部門を授賞するなど、国内外で高い評価を受ける。
http://blog.idea-web.jp/?eid=77933
http://blog.idea-web.jp/?eid=101484


katariko_DM.jpgkatariko2.JPGハンディキャップのある人、ハンディキャップのない人の間にあるボーダーをこえて、ライフデザインを応援していく雑誌「カタリコ」は読み終わった後、額に入れ絵画としても楽しめるという<飾る雑誌>。
絵画のキャンバスの風合いを出すため表紙回りにエンボス加工を施した。
障害をもつアーティストの作品が毎号表紙になるので、一冊一冊集める楽しみも。創刊号の表紙は秦美紀子さんの「フラワーハウス」
http://www.ergotherapie.co.jp/




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工場を持たないアサヒ精版


今の社長の代から工場を無くしたんですけど、
機械を持ってる大手でも下請けに出してるように、
そこだけで全て成り立つというのはほぼない。
1つのものを作りあげる時に数件の工場をまわって出来上がる。
物件ごとにいろんな工場をセレクトし使い分けていく。
そうでないと無駄なくクオリティの高いものができない。


そんな状況下で自社工場に執着してても採算があわないし、
幅広いものづくりができないので、
思い切って機械をなくしてしまったというわけ。
初めてのお客さんは工場がないと高いというイメージとか、
ブローカーな感じというのが当初はちょこちょこあったんですが、
ここ数年でウチの仕事のやり方というものを理解してもらえて、ありがたいなと。


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U

なんか時代にあってますよね? その考え方。まさにディレクションですよね。今、印刷って二極化じゃないですか? 早い!安い!って所と丁寧で綺麗だけどそれ相応のお値段の所って。

M

ネットの印刷もそんなに悪くないですよ。

U

普通ですよね。

M

目的に応じて使い分けしてもらったらいいと思うんです。
お金のない若い子がフライヤー刷るのに高い印刷する必要はまったくないし、
印刷費が決まってるなかで、特殊なことをしたいものに予算をかけて、
どこで刷ってもそんなに大差ないものだったら
中身は安いところで刷る。

U

それでいいですよね。
印刷の差ってどこで出るんでしょう?

M

今は機械が発達して、めちゃくちゃ酷いものってほとんど出来なくて、
ほっといても平均的に、そこそこにはあがります。
なので、そこからどうするか? どういう指示をするか? が大事。
いくら機械が進化しても結局は人。
だから印刷には必ず立ち会うようにしてます。
色校で良くても本番で色が転んだりしたら意味ないですから……。

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Relation Link
アサヒ精版印刷株式会社 http://asahiseihan.jp/

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ワタクシundersonがちょっと気になるアンチクショウと旨い珈琲でも飲みながら肩肘張らない丸腰放談の中からクリエイティブの薬莢を見いだす針小棒大なコーナー。

Editor/
tsutomu horiguchi
from underson

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