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▶サタケシュンスケ

Les Enfants Terribles|2010.09.06 / Flip

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古書店でみかけるペーパーバックを思わせる色使い、シンプルな線で描かれるどこかとぼけた表情の子供たち、東欧のデザインのような素朴ながらアヴァンギャルドな構図やトリミング。イラストレーター・サタケシュンスケさんの描くイラストは、かわいらしいけどどこか不可思議。ユーモラスでノスタルジックな世界観で雑誌、書籍、広告など多方面で活躍中のサタケシュンスケさんとちょっとお話してきました。


S:サタケシュンスケ
U:underson

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イラストレーターになれると思ってなかったです。
なりたかったですけど。


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U

実は自分もイラストレーターになりたくて専門学校へ通ってたんですけど、イラストで喰っていけるのだろうか? と不純な理由で諦めた人間なのでイラストレーターってだけで尊敬してしまいます。

S

絵は好きで描いてましたけど、
まさか自分の絵がお金になるとか全然思ってなくて。

U

若い時って根拠の無い自信で突っ走るものなのに?

S

性格かもしれません。
自分の絵が人に認められるにはまだまだ足りないものが多いと思ってたので、
恐れ多いというか。

U

学校出てデザイン事務所に就職してたんですよね?

S

みんなどうやってイラストレーターになったんだろ?
どうやったらイラストレーターになれるんだろ?
と思ってイラストレーター年鑑とかのプロフィールを見てたら、
デザイナーを経てという方が多かったので、
何も知らない状態で飛び込むより、イラストに近いであろうという感じでデザイン業界に入りました。

U

仕事しながら絵も描いてたんですね。

S

会社に勤めるため神戸から大阪に出てきたんですけど、
大阪のギャラリーを観てまわるうちに、自分と同年代や若い世代の人たちが個展やグループ展をやってるのを目の当たりにして、こんな所があって、こんなに頑張ってる人たちがいるんだって知って。なら僕も会社で出来ない自分の表現をそこで出して観てもらいたいなと。仕事をしながら絵を描き続けてました。

U

会社を辞めてイラストに専念したキッカケは?

S

漠然とスキルがつけばいいかなと思って20才で就職し、
5年たち25才になったとき、少しはマックを使えるようになったけど、
自分の中でちょっと成長がないなと思って。
デザインという職業柄、深夜や朝方まで仕事することも多く、

絵の方にもっと時間を注いでみよう、
もっと絵に向き合ってみようと思い、

喰えるあてがあるわけでもなかったんですが会社を辞めました。
辞めないと考える時間もないし。


辞めたからには、
ポートフォリオ作っていろんな所へ持っていったり、
会いたい人、絵を観てもらえる人にはできるだけ会いにいき、
展覧会もいっぱいやりました。
それが今に繋がってるというか、今もまだその延長線上にいる感じです。
絵を描かせてもらえる機会をいただけるのが素直に嬉しいので、
もっと応えられるように、
早く一人前になりたいなという気持ちで仕事してます。

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今は絵に関しては惜しまず費やす。

U

サタケくんの作品って鮮やかながらちょっとクスんだ色がドーンって目に入ってくるのが印象的ですが、これはアクリル?

S

アクリルで描いた原画をスキャンしてパスデータにしたり、
イラストレーターで着色しなおしたりしてます。
カスレとか線のブレとか手書きの跡はデータにしても残すように気をつけてます。マウスで描いてしまうと僕の絵は寂しくなってしまうので、
パソコンは道具として使うくらいで止めておきたいと。
あと、データ化するのは、こういう状態で絵を貰ったら使い易いかなと。そのへんはデザイナーをやってたからかもしれません。

U

デザインしてたことって絵に影響ある?

S

絵と空間の比率だったりトリミングとかに
デザインかじってた影響があるのかなと。
僕の絵に深い芸術的な意味はないんです。
見た目のバランス、気持ち良いバランスを心がけてます。

U

ヨーロッパの雰囲気ですよね。それも東側。

S

ヨーロッパに漠然とした憧れがあって、
会社を辞めた時に、フランス、ベルギー、ドイツ、チェコに行きました。
ルーツというわけでもないんですけど、自分が好きだと思うものを実際見てみたいなと思って。
そこで見たものを絵にしたりして、よりいっそう好きだと確認しました。
なのでヨーロッパ的と言ってもらえるのは嬉しいです。伝わってるなって。

U

パッと見は、すごく可愛いんだけどこの違和感って何なんだろ?目が気持ち悪いのかな?グルグル回ってて。

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S

目はよくNGになるんです。「お仕事お願いしたいんですがちょっとご相談があって……目が……」というのはあります。今は回ってますけど前は塗り潰してたり。まだまだ変化の途中と思ってます。
昔はもっとカッコイイ系というかスタイリッシュな絵が描きたいと思ってて。

U

みんなが通るシュッとした感じ。

S

憧れて(笑)
でも仕事を始めると僕の需要はそこじゃなかった。
それはいろんなお仕事させてもらって気づき、変わってきました。
自分に何を求められてるのかを意識するようにしてます。

いろんなお仕事させていただくと、
当たり前ですけど自分の知らないことっていっぱいあるので、
もっといろんなことを見て知ったうえで取り組みたい思いました。
自分の好きな世界観を描くのも大事ですけど、
その本質を理解して描く。
そういうところから差がでてくるんだろうなと。


今は絵に関していろんな労力を惜しまず費やしていこうと。
人に会ったり、いろんなもの観たり。
それが何らかのカタチで絶対返ってくるだろうと信じて。


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U

仕事の依頼の大半は東京?

S

そうですね。
仕事で東京とか行くようになり、
いろんなものがどんどん見えてきて、
昔、自分が思ってたほど東京というのは
大事なものではなかったんだなと感じますね。
仲間が拠点を東京に移すとちょっと寂しいなとは思うんですが、
止める権利なんてないので、
その理由をつくりたいなとか思いますね。
東京に行かなくてもいい理由。

U

東京に行かなくてもいい理由って、関西をもっと盛り上げ、仕事も暮しももっと魅力的な街にするということですよね。その中でイラストやデザインができることって何だろう?って考えていきたいね。大きい話じゃなく、サタケくんの絵を観た人が、いろんなことを忘れ微笑んだり楽しい気持ちになる事って凄いことだと思うんですよ。そんな小さなことからでも可能性っていっぱいあるはずだし。

S

そうですね。絵が描けるっていうのは本当に幸せなことだと思います。

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U

今後やってみたいジャンルとかってありますか?

S

雑貨はちょっとやりたいです。
絵の枠を飛び越えた感じの。
いつも1人でやってるので、いろんな人と協力しあってものをつくりたい。
全然かかわったことの無いような人たちとものをつくるのはすごく楽しそう。
自分のキャラクターの人形とか作れたらいいなと。

U

いいですね、すごくハマリそう!
そういえば毎日早起きして朝走ってるよね。Twitterでサタケくんが「おはようございます。走ってきます」ってツイート見たら、あぁもう朝だ!寝なきゃ!と思って見てます。

S

頼まれもしないのに暇さえあったら絵を描いてるというタイプではないし、
僕は自分が怠け者と自覚してるんで、
せめて早起きとか、朝走るとか、生活くらいはストイックに……ストイックじゃないんですけど。

走ってる時ってフリーというか無心になれ自分と向き合える時間で、
そこで自分のこと、絵のこと、いろんなことをゆっくり考え整理する時間になってて、すごく大事な時間になってます。

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サタケくんが東京ですが個展を開催します。
個展「Twelve」(タイトル仮)
期間:10月26日(火)~ 11月7日(日)月曜定休
場所:CEDOK TOKYO STORE http://www.cedok.org/
東京都千代田区東神田1-2-11アガタ・竹澤ビル404

Relation Link
Natural Permanent http://www.naturalpermanent.com/

Thanks
Opus Design School

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ワタクシundersonがちょっと気になるアンチクショウと旨い珈琲でも飲みながら肩肘張らない丸腰放談の中からクリエイティブの薬莢を見いだす針小棒大なコーナー。

Editor/
tsutomu horiguchi
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2012.11.20 Tue


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