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▶明晃印刷株式会社

It's Old and New Letterpress|2010.03.20 / Flip


なにやら最近活版印刷がにぎやか。
活版印刷とは大雑把に言うと金属や木で作られた活字を組み合わせた版(活版)にインクを付け、紙に押し付けることによって印刷する技術。
おさえて刷るので活字の部分が凹んだり、つぶれたり、かすれたりしてデジタルではあじわえない手仕事ならではのゆらぎがとてもいい感じ。
PAPIER LABOオールライト工房temp pressLUFTKATZEなど、活版への新しいアプローチも盛んで、活版を全く知らない世代にも新しい価値観として受け入れられ、その魅力が再評価される今、実のところワタクシも活版印刷未経験ゆえ、創業55年。大阪は福島にあります明晃印刷株式会社さんに活版印刷の現場を見せてもらいました。


昭和初期に建てられたという味のありすぎる<文化ビル>。この建物で活版という出来すぎなシチュエーション!一歩足を踏み入れるとそこは活版ワンダーランドでした。

壁を覆いつくす目眩がするほどの活字たち。「へん」や「つくり」で並んでおり、もちろんどこに何があるかを把握してるそう。いろんな大きさ(ちなみに単位は号)の明朝、ゴシック、欧文の活字たちが早く組んでくれと訴えています。
またイラストレーターなどのデータからマグネシウム合金で活字を製造する凸版印刷と組み合わせることでロゴやグラフィックと活字といったバラエティー豊かな活版印刷が出来るというわけ。

ここで文字を組んで活字の版、活版になります。

凹凸のない金属の板を使ってスペースや行間などを作ります。DTPではスペースは文字通り何も無いスペースですが、活版ではそこにビッチリいろんなものが詰められているというのも面白い。

ボケてますが……組み上がり。写真では分からないですがコレすごく小さいのです。これを手で組んでいくというのだから、ピンセットで写植を切り貼りするより神技。もはやアートの領域です。

校正刷りの機械。間違えが無いか確認しいよいよ印刷へ。


名刺などを刷る機械。なんか可愛いらしいです。


そして大判が印刷できる機械。これが現役で動いている所はほとんど無いとか。

後ろからの眺め。印刷と言えばこの音ですよね!



今回この素敵な現場を見せてくださった明晃印刷の高崎さんにいろいろお話を伺い初めて知ったのですが、文字の部分が凹んでいたり、文字がつぶれたり、1枚1枚表情を変えるかすれが活版ならではの味として愛されてますが、印刷サイド(職人さん)からすると凹まない程度に強く印圧をかける技術、かすれのない美しい仕上げこそ活版職人の腕のみせどころだそうで、今人気の活版は、ちょっとヘタに印刷してくださいってお願いしてるようなものなんだとか。時代の流れでどんどん姿を消していった活版ですが、さらなる大きな流れの中で活版の弱点だったものが今の時代に味として愛されるってのも面白いものです。



「活版=高いというイメージがあると思うんですが、僕はもっとハードルを低くして、いろんな人に活版を知ってもらって体験してほしいんです。今日もデザイナーさんが来て自分でやりたいって言うので、じゃぁ機械の使い方教えるのでやってくださいって(笑)オープンで誰もがいつでも入ってこれるような場所にしたい。活版に新しい風が入るほうが面白い」と高崎さん。伝統にこだわりつつ、新しい取り組みにも敏感かつ貪欲に。多くの人が活版に触れることで、あたらしい可能性がうまれることでしょう。

なかなか身近でなかった活版印刷でしたが
現場にふれたことで
活版印刷との距離がうんと近づいた気がしました。

今回は諸事情により実際に印刷できなかったので
今度行く時はぜったいなにか刷ってもらいます!


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工場見学も大歓迎(要予約)とのこと。活版に興味のある方はぜひその魅力にふれていただきたいです。
明晃印刷株式会社http://www.meiko-print.co.jp/


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ワタクシundersonがちょっと気になるアンチクショウと旨い珈琲でも飲みながら肩肘張らない丸腰放談の中からクリエイティブの薬莢を見いだす針小棒大なコーナー。

Editor/
tsutomu horiguchi
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